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お題「ラブレター」で書いたもの①

 彼女から最初に”手紙”を受け取ったのはバレンタインだった。
 渡された封筒には平たいチョコが入っていた。彼女曰く、封筒に入れば手紙らしい。

「わざわざこのサイズに合わせて作ったの?」

「頑張った。本命だぞ。喜べ」

「まじかよホワイトデーは本命でお返しするわ」


 初めて二人で遠出した日にもらった手紙は小さかった。
 ポチ袋の中身は、正方形っぽい小袋の表面にリング状の形が浮いたアレだった。このときばかりは彼女も顔を耳まで真っ赤にして俯いていた。

「そろそろいいかな、なんて」

 絞り出すような声だったのを覚えている。

「まじかよ愛と責任を持って励むわ」

 足りなくなって買い足しに行ったのが気まずかったっけ。


 数年後、転勤が決まった。

 「はい。お手紙」

 色気のない角2サイズの茶封筒を渡した。きっかけを作ってきたのはいつも彼女だったけど、俺からだって動けるのだ。

「それは私の持ちネタなんですけどね……あ」

「転勤先が思ったより遠くてな。頼むからイエスと言ってくれ」

「まじかよloveとlaughに溢れた家庭築くわ」

「それは俺のネタ。つーか韻を踏むなよ」


 改めて書こうとすると難しいのはよくわかったよ。手紙。
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お題「ラブレター」で書いたもの②

 ラブレターなるものを初めて受け取ったのは中学校の卒業式だった。
 桜の咲き始めた中庭にホイホイ呼び出されて行くと、彼女が待っていた。
 以前からお互い憎からず思っている雰囲気はあったので、覚悟と期待を込めて声を掛けると、

「先輩! こ、これ……受け取ってください!」

 これであった。

「いやいや、僕ら同級生でしょ」

「なんだ。ラブレターを渡すときのお作法じゃないのか」

「どこで学習したんだよ……ん? ラブレター?」

「あ、ネタバレした。じゃあ読まなくてもいいね」

 と、彼女が封筒を鞄にしまおうとするので阻止した。

「なんだよ。ちゃんとくれよ」

「やだ! 今になって恥ずかしくなった!」

 封筒をもぎ取ると、”お作法”に則った結果なのかご丁寧にハートのシールで封をしてあった。
 その場で読んで、その時から僕たちは付き合っている。


 そして今日は初めての結婚記念日。

「先輩! こ、これ……受け取ってください!」

「いやいや、僕ら同級生でしょ。ってそれ懐かしいな」

「頑張って考えたんだけど、どうも年賀状みたいになるのよね」

 そこには初めてのラブレターと同じ言葉があった。


『大好きです。これからもよろしくね』
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Author:ciza6sfeuc/白澤カンナ
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